住宅ローンに年齢制限はある?年齢別の注意点もチェック

家族ができて生活スタイルが確立し、自分たちに適した家を建てようとすると、ある程度の年齢になっていることが多いものです。実際に住宅を購入するのは30代後半から40代といわれています。でも、住宅ローンを組む時に不利にならないか心配ですよね。

今回は、住宅ローンを組める年齢についてご説明します。年齢別の注意点などもあわせて記載していくので、これから住宅ローンを利用して新居を購入する予定の方はぜひお役立てください。

そもそも住宅ローンとは?

住宅ローンとは、住宅を購入するために借りるローンのことです。住宅を購入する際には、一般的には大きな金額が必要となりますが、住宅ローンを組めば銀行や信用金庫、その他の金融機関から借り入れることができます。

住宅ローンは住宅購入のための借入であり、返済期間が長くなる傾向があります。月々の定額返済が一般的です。住宅ローンの金利は、固定金利と変動金利の2種類があります。 固定金利は、借入時に設定された金利が全期間通って変わりません。 一方変動金利は、金融市場の状況に応じて金利が上がる場合もあれば下がる場合もあります。

住宅ローンに申し込む手順
STEP1 予算を設定する
STEP2 住宅を探す
STEP3 融資条件を確認する
STEP4 住宅ローンに申し込む
STEP5 金融機関の審査を受ける
STEP6 融資が決定し契約へ

住宅ローンを組むために、まずは自分たちの予算を決めます。予算がある程度決まったら、予算内で購入可能な住宅を探しましょう。不動産会社を訪問し、自分たちの条件に合った物件を探してもらったり、自分たちでインターネットや不動産誌などから探すこともできます。

購入したい住宅が決まったら、金融機関に融資の相談を行いましょう。複数の金融機関の条件を比較することも大切です。次に、本人確認書類や収入証明書、購入する住宅の詳細情報など申し込みに必要な書類を用意し、住宅ローンに承認されるための申し込みます。

申し込むと、住宅ローン借り入れの審査が実施されます。審査内容としては、収入や勤続年数、借り入れ履歴、保証人の有無、購入する住宅の価値などが含まれます。審査に通過すると、融資の決定が下されます。その後契約手続きが行われ、住宅ローンの借り入れ完了です。

金融機関によっては、手続きの詳細や条件が異なる場合もあるので注意しましょう。 また、不動産会社と金融機関が提携している場合は一緒に手続きを進めることもできます。

住宅ローンの年齢制限について

住宅ローンの3つの制限
申込時年齢 住宅ローンの開始年齢
完済時年齢 住宅ローンの返済を完了させる年齢
返済年数の制限 借入期間

住宅ローンを組む際には様々な審査が行われますが、まず年齢や借入期間に関する3つの制限をクリアする必要があります。

3つの制限とは、住宅ローンの開始年齢を定める「申込時年齢」、住宅ローンを返済完了する年齢を定める「完済時年齢」、借入期間を定める「返済年数の制限」です。この3つを組み合わせて、どのような計画で住宅ローンを組むかを検討します。

完済時年齢などはひと昔前よりも引き上げがされており、申し込み年齢は20歳から70歳、完済年齢は80歳まで、ローン年数は10年から35年とするものが一般的です。住宅ローンを取り扱う金融機関は商品の内容を独自に定めているため、どこでも同じ条件ではありません。中には申し込みが65歳までや、完済を85歳までとしている銀行もあります。

ほとんどの住宅ローンの契約には、団信と呼ばれる保険への加入が条件となっています。団信とは団体信用生命保険の略称で、住宅ローンの契約者が途中で死亡するなどで返済が不可能となった場合、残債を保険で支払うものです。ちなみに、フラット35だけは団信への加入が必須となっていません。

団信の加入年齢はローン申し込み年齢と同じですが、従来の団信にがん保証などがプラスされているタイプは、個別に年齢制限が設けられている場合があります。逆に団信の健康診査に通らない場合、金利に上乗せする形で保険料を加算し、保証を受ける方法を取っている金融機関もあります。

大事なのは完済時の年齢

前項で住宅ローンは一般的な申し込み可能年齢は20~70歳まで、完済年齢は80歳までとお伝えしました。しかし、完済年齢は80歳までだからといって79歳ギリギリに完済できる目安で良いのかというとそうではありません

住宅ローンの3つの制限の中には「完済時年齢」があり、住宅ローンの借り入れ審査でも重要視されます。収入や勤続年数などの審査項目の中で、ほとんどの金融機関が完済時の年齢をしっかりと考慮しています。

では、なぜ完済時の年齢が重要とされるのでしょうか?その理由をいくつかご紹介します。

【年金や退職金の受給開始年齢】
住宅ローンの返済期間が長い場合、返済が終わる頃には年金や退職金の受給開始年齢に近づいています。完済できるかどうかの安定性に影響を与えるため、考慮される項目です。
【収入や就労状況】
住宅ローンの返済は、収入や就労状況も重視されます。返済期間が長くなる住宅ローンでは、完済時には年齢が高くなることがほとんど。将来的にも安定した収入がある方のほうが審査は有利に進みます。
【借り手の将来の計画や目標】
借り手の将来の計画や目標も、大切な要素のひとつ。例えば、子供の教育費や自己資金形成のための投資など、将来の重要な支出を考慮しながら完済時の年齢を設定しているかどうかなども考慮されます。
【健康状態や将来の不測の状態】
完済までの長い返済期間中には、借り手の健康状態や将来の不測の状態も想定しておく必要があります。

申し込み可能年齢は20~70歳まで、完済年齢は80歳までではありますが、若い世代のほうが審査に通りやすいもの。対象年齢には間に合うと気軽に考えず、善は急げという気持ちでできる限り早めに申し込むように心がけましょう。

何歳までに住宅ローンを組むべき?

住宅ローンの審査に通りやすい年齢は32歳です。32歳なら、35年ローンを組んでも完済時に67歳です。繰り上げ返済で定年前に完済を目指すことも可能ですし、繰り上げ返済をしなくても65歳の退職時にかなりローン残高が減っていることが予想できます。

そのため退職金を投入しても無理なく生活ができるので、返済計画が立てやすいというメリットがあります。無理のない返済計画が立つということは、資産の有無などのプラス査定となる材料を特に必要とせず、住宅ローン審査を通過する可能性が高いです。

令和元年に国土交通省が行った「民間住宅ローンの実態に関する調査 」では、99%の金融機関が完済時年齢を審査項目として挙げています。30年~35年の住宅ローンを組むとき、多くの人が定年退職を迎える65歳までにおおかたを完済できているというのは大きなポイントです。

住宅ローンは長期間返済が生じますので、開始年齢が若ければ若いほど人生の早い時期にローンが終わることから有利に思われるかもしれません。しかし、あまり若すぎると今後の収入や現在の社会的信用を図りにくいというデメリットもあります。ある程度の勤続年数があり、社会的な信用もでてくる30代以降のほうが住宅ローン審査に通りやすいといえます。

住宅ローンの借入期間

一般的な住宅ローンの借入期間は、20年から35年程度です。最長借入期間を35年としている金融機関が多いですが、最長50年の借入期間を設けている金融機関も存在しています。実際に住宅ローンの契約をしている方の平均借入期間は30年以上です。

住宅ローンの借入期間は、自身の状況に合った期間を決定する必要があります。自身や家族の収入や支出を詳細に分析し、毎月どの程度の返済金額までであれば普段の生活に支障がないか検討しましょう。結婚、出産、子供の教育費、キャリアの変更、退職など、将来の予測される変化についても考慮してください。

また、年齢によっては住宅ローンの借入期間を自身で決められない場合もあります。たとえば完済時年齢が80歳までの金融機関であれば、50歳に申し込んだ場合は35年の借入はできず、最長で30年の借入期間となるでしょう。

年齢別に見る住宅ローンの注意点

住宅ローンを利用するには、さまざまな注意点が存在します。ここでは、年代別に見た住宅ローンを申し込む際の注意点について解説していきます。あなたの年齢の注意点に目を通してみてください。

20代の注意点

20代で住宅ローンを組む場合、長期の返済期間を選ぶことが多いです。これは若いからこそのメリットですが、若さゆえに収入や貯金が多くなく希望どおりの融資額や融資条件では住宅ローンを組めないこともあるでしょう。

住宅ローンの返済は、収入に対する負担となります。将来を見通し、キャリアの発展にも配慮して返済計画を立てましょう。また、返済期間は将来のライフプランやライフスタイルの変化を見越して検討する必要があります。

20代の夫婦であればまだ子供も幼いため教育費の負担が少ないので、積極的に繰り上げ返済をしておくのもおすすめです。長い目線で将来を見据え、計画的に住宅ローンを利用しましょう。

30代の注意点

30代になると、収入が安定していることが多いです。20代よりも適切に家計の負担にならないような計画を立てやすいでしょう。また、30代も比較的長期の返済期間を選択できます。あえて長めに設定してワンランク上のマイホームを購入することも可能でしょう。

20代ではまだ子供がいなかった夫婦も、30代になると家族が増えていることが多いです。子供のことも考えたうえで住宅ローンに関連する総合保険などの検討することも重要となります。

子供の教育費などにまだ余裕があるうちに繰り上げ返済をしておくのもおすすめ。将来受験などで多額が必要になることが予想されるので、負担が少ないうちに払えるだけ払ってしまいましょう。とはいえ、急な体調不良などを起こすこともあります。ある程度余裕を持って返済計画を立てましょう

40代以降の注意点

40代以降に住宅ローンを組む際には、借入金額と完済時年齢に気をつけましょう。40代以降の方の多くは社会的信用や収入が安定しているので、住宅ローン審査にはプラスに働きます。しかし、無理な計画では審査が通りにくくなります。

80歳までローンが組めるからといって長いローンを組んでしまうと、退職などで収入が年金のみになった場合の返済が難しくなります。年金で返済できる少額のローンを長く組むという考え方もありますが、ローン返済期間が長いほど金利にかかる金額も大きくなります。資産があるなら返済可能ですが、財テクとして効果的とはいえません。

完済時年齢を意識しすぎて短い期間での返済を計画し、月々の返済額が大きくなりぎるという問題もあります。仮にローン審査を通過しても、ぎりぎりの返済計画では小さなきっかけで破綻する恐れもあります。40代以降のキャリアに程度見通しのたった状況で長期ローンを組みますので、不測の事態も不測としないくらい備えた計画を立てることをおすすめします。

銀行のホームぺージには借入シミュレーションがありますが、ここでは簡単に月々の可能額に借入月数をかけてみましょう。計算して出た金額が金利を含めて支払える総額の目安です。仮に45歳の方が毎月10万円を返済し、定年後5年は働く予定で完済時70歳の25年間の借り入れを想定すると、3,000万円という結果になります。

この金額以上の借り入れを希望するのであれば、頭金を用意することをおすすめします。まとまった頭金を入れるとなれば、担保評価より借入が少なくなるので審査にはプラス材料です。頭金が難しければ親子ローンや配偶者とダブルローンを組むなどの方法がありますが、住宅そのものの価格を下げることを検討しなくてはなりません。

また、健康であることはとても大きなポイントです。金融機関の住宅ローン審査項目で完済時年齢に続くのは健康状態です。団信加入にも大きくかかわります。持病があると絶対に審査が通らないわけではありませんが、具合が悪い状況が続いて働き続けられるかわからないと困ります。元気に働けることが前提であることも忘れずにいてください。

住宅ローンに関するよくある質問

住宅ローンは何歳なら申し込める?
一般的に申し込み可能年齢を20~70歳まで、完済年齢を80歳までとしている金融機関が多いです。
住宅ローンの審査に通りやすい年齢は?
ある程度収入が安定し、長期的な目線で返済計画を立てられる30代は比較的審査に通りやすいでしょう。
住宅ローンの審査では何をチェックされるの?
収入や勤続年数、借り入れ履歴、保証人の有無、購入する住宅の価値などが審査内容に含まれていることが多いです。
住宅ローンの借入期間はどうやって決める?
家族の収入や支出を把握し、結婚や出産、子供の教育費、キャリアの変更、退職など、将来の予測される変化についても考慮して借入期間を決定しましょう。
住宅ローンの平均借入期間は?
住宅ローンの契約をしている方の平均借入期間は、30年以上です。

まとめ

40代以降の住宅ローンは、30代までに比べると少し気をつける点があります。頭金をどうするか、月々の返済をいくらにするか、何年借り入れるかなど、自身のライフプランと照らし合わせてよく検討することが大切です。

将来を見越した無理のない計画であれば、審査も怖くありません。マイホームの購入にこの記事がお役に立てれば幸いです。