屋根裏部屋を作る際の費用相場と注意点

一生に一度の買い物、といわれて思いつくもののひとつがマイホームではないでしょうか。そのため購入計画には、様々な希望やこだわりを詰め込みたくなるものです。

中でもあこがれる人が多いのが、天井と屋根の間にできるスペースを利用して作られる「屋根裏部屋」です。屋根裏部屋を作りたいと考えた時に注意する点や費用の相場などを調べます。

目次

屋根裏部屋をつくる前に知っておくべくこと

「屋根裏部屋」を設ける注文住宅を建てる場合、まずは建築士や設計事務所に相談して、屋根裏部屋の設置が可能かどうかを確認する必要があります。屋根裏部屋は、耐荷重や断熱などの面で、通常の居住スペースとは異なる要件を満たす必要があるため、設計や施工には専門知識が必要です。

また、屋根裏部屋の使い方やデザインについても、建築士や設計事務所との打ち合わせが必要です。屋根裏部屋を寝室として利用する場合は、天井高や窓の配置などが重要になります。一方で、収納スペースとして利用する場合は、収納のしやすさやアクセスのしやすさを考慮する必要があります。

また、屋根裏部屋のアクセス方法も重要なポイントです。階段の形状や位置を工夫することで、スペースの有効活用やデザイン性を高めることができます。

屋根裏部屋を注文住宅に取り入れる際は、設計から施工までのプロセスにおいて、専門的な知識や技術が必要になります。そのため、建築士や設計事務所に相談し、専門家のアドバイスを受けながら、理想的な屋根裏部屋を実現することが重要です。

屋根裏部屋に建築制限はある?

屋根裏部屋には、一般的な建築基準に加えて、以下のような制限があります。

耐荷重制限

屋根裏部屋は、通常の住宅スペースよりも荷重に弱い可能性があります。
使用目的に応じた耐荷重制限があります。寝室として利用する場合は、人間や家具の重量に加えて、床下の構造体の重量を考慮する必要があります。
屋根裏部屋の床の負荷強度は、必ず注文住宅会社に確認しましょう。

断熱制限

屋根裏部屋は、通常の住宅スペースよりも断熱性が低くなりやすいため、適切な断熱材を使用する必要があります。また、断熱性を高めるためには、屋根裏部屋の換気設備にも注意が必要です。

防火制限

屋根裏部屋は、火災が発生した場合に燃えやすいため、防火規定に準拠する必要があります。防火壁や防火扉、適切な換気設備などが必要です。

高さ制限

屋根裏部屋は、天井高が低くなるため、使用目的に応じた高さ制限があります。固定資産税の対象にならないためには、天井高を1.4m以下にする必要があります。

広さ制限

固定資産税の対象にならないためには、屋根裏部屋の床面積を、一つ下の階の床面積の二分の一未満にする必要があります。

ロフトと屋根裏部屋は何が違う?

「ロフト」と「屋根裏部屋」は、住宅のスペースの利用方法に関する用語であり、異なる意味を持ちます。

ロフトは、部屋の上部に設けられた小さな部屋のことで、通常は天井高が低く、階段やはしごを使ってアクセスします。主に寝室や書斎などとして利用され、設置場所によっては、部屋の床面積を増やすことができます。

一方、屋根裏部屋は、住宅の屋根裏にあるスペースを利用した部屋のことを指します。通常は屋根裏補強材として使われる断熱材の上に、足場を組んで作られます。屋根裏部屋は、ロフトと比較して床面積が広く、階段やはしごなどのアクセスが必要です。

また、ロフトは主に小さなスペースを活用するためのものであり、屋根裏部屋は大きなスペースを利用するためのものであることが一般的です。設置場所や目的によって異なるため、建築物の設計や施工にあたっては、それぞれの特徴に応じた考慮が必要となります。

屋根裏部屋をつくるメリット

屋根裏部屋をつくるメリットは、以下のようになります。

スペースの有効活用

屋根裏部屋は、住宅の空間の有効活用に最適です。一般的には、断熱材や補強材が必要になるため、建設費用がかかりますが、スペースの有効活用によって、床面積を増やすことができます。

静かな空間

屋根裏部屋は、住宅の外側に位置しているため、静かな空間を作ることができます。また、断熱材によって室内の温度調整がしやすく、快適な空間を作ることができます。

プライバシーの確保

屋根裏部屋は、一般的に屋根裏補強材などを使用するため、周囲からの視線を遮ることができます。プライバシーを確保しながら、リラックスできる空間を作ることができます。

創造的なスペースをつくれる

屋根裏部屋は、一般的に屋根の形状に合わせて斜めになるため、創造的な空間を作ることができます。インテリアデザインや収納スペースの工夫など、アイデア次第で様々な使い方ができます。

固定資産税の対象外となる

屋根裏部屋は、以下の条件の場合、固定資産税の対象となりません。

条件①:天井の高さが1.4m以下
条件②:屋根裏部屋の床面積が、1つ下の階の床面積の二分の一未満

もし、上記の条件を超える場合は、通常の部屋として扱われるため固定資産税の対象となります。
また、お住いの地域によっては条例で「固定階段をつけてはいけない」という決まりがあるので、お住いの地域のルールも確認しておきましょう。

屋根裏部屋をつくるデメリット

屋根裏部屋をつくるデメリットは、以下のようになります。

暑さや寒さへの配慮

屋根裏部屋は、屋根に近い場所にあるため、夏場には暑く、冬場には寒いといった問題があります。そのため、断熱材の選定や空調設備の配慮が必要になります。

階段の設置が必要

屋根裏部屋にアクセスするためには、階段やはしごを設置する必要があります。階段の設置場所や形状によっては、住宅の設計に制約が生じることがあります。

荷物の搬入が困難

屋根裏部屋は、通常の部屋と比べて天井が低く、アクセスが難しいため、荷物の搬入や大型家具の設置が困難になる場合があります。

屋根裏部屋の上手な活用方法

屋根裏部屋の上手な活用方法は以下のようになります。

収納スペースとして活用する

屋根裏部屋は、通常の部屋よりも天井が低いため、床面積を有効活用することができません。しかし、収納スペースとして活用することで、季節外の衣類や荷物などを収納することができます。

子供部屋として活用する

屋根裏部屋を子供部屋として活用することで、子供たちにとって特別なスペースを提供することができます。また、屋根裏部屋は、子供たちが大好きな隠れ家として活用することもできます。

書斎として活用する

屋根裏部屋は、静かな空間であるため、書斎として活用することができます。書斎に必要な本棚や机などを設置することで、集中して作業することができます。

ゲストルームとして活用する

屋根裏部屋をゲストルームとして活用することで、来客時に宿泊スペースを提供することができます。また、子供たちが友達を泊めることもできます。
屋根裏部屋を寝室にする場合は、ベッドの搬入が難しく、搬入できたとしても天井が狭いため、布団のみの方が良さそうです。

屋根裏部屋の間取り

屋根裏部屋のおすすめの間取りは、以下のようになります。

一般的な屋根裏部屋

一般的な屋根裏部屋の間取りは、縦に長い形状をしています。壁面に収納スペースを作り、真ん中に広めのスペースを作って、子供部屋や書斎など、好きな用途に活用できます。

ワンルームタイプの屋根裏部屋

ワンルームタイプの屋根裏部屋は、広めのスペースを一つ作り、柱や壁をなるべく少なくして、開放的な空間を作ることができます。書斎として、寝室として、様々な用途に合わせて活用できます。

複数の部屋を作るタイプの屋根裏部屋

屋根裏部屋を、壁で仕切って複数の部屋を作るタイプの間取りもあります。このタイプは、一般的な屋根裏部屋よりも高さがあるため、床面積を有効に活用することができます。

屋根裏部屋の費用相場

屋根裏部屋をつくる費用相場は、以下のような要因によって大きく変動します。

屋根裏部屋の床面積
屋根裏部屋の高さ
屋根裏部屋の構造
建築費用や工事費用

屋根裏部屋を作る際にプラスでかかる費用は、「基本的な工事費用」「電気配線や換気扇などの設置オプション費用」「階段やはしごの設置費用」「断熱工事の費用」等が主な費用になります。
一般的に屋根裏収納を作る場合は、屋根裏部屋を居室として利用する場合に比べて、断熱材や換気等の必要数が減るため、費用相場は安くなります。
断熱工事を必要としない屋根裏収納の場合の費用相場は、1平米あたり5万円〜10万円程度を想定しておくと良いでしょう。
また、屋根裏部屋をつくる場合は、断熱工事がほぼ必須になるため、費用相場は1平米あたり10万円〜20万円程度を想定しておくと良いでしょう。
ただし、地域や工事業者によっても価格が異なるため、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

また、屋根裏部屋をつくるためには、建築基準法や防火法などの法律や条例に適合する必要があります。これらの適合費用も、総工事費用に加算されることがあります。

以上のような要因から、屋根裏部屋をつくる費用相場は様々であるため、具体的な金額を知りたい場合は、専門業者に見積もりを依頼することをおすすめします。

失敗しないための屋根裏部屋の作り方

屋根裏部屋を作る際に失敗しないためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

一般的な部屋に比べて機能的に不便なことを理解する

屋根裏は構造上、一般的な部屋に比べて、夏は暑く、冬は寒くなりやすいです。
特に冬場は、家の中で発生した水分が天井まで上昇し、冷えた天井と接することで結露が発生します。
これらを防ぐためには、十分な換気の確保や、断熱材の使用が必要になります。
また、高さや広さも制限があるため、最初はワクワクしても、後に使いづらく感じてしまうかもしれません。
こうなった場合でも、上手く活用する方法を事前に考えておくと良いでしょう。

建築基準法や防火法に適合する設計にする

屋根裏部屋は、建築基準法や防火法に適合する設計にしなければなりません。必要な条件については、地域の自治体によって異なる場合があるので、確認が必要です。

構造上の問題を事前にチェックする

屋根裏部屋をつくる際には、構造上の問題が起こる可能性があるため、事前に確認する必要があります。例えば、床や柱の耐荷重を超えないように設計すること、屋根裏部屋の換気を十分にすることなどが挙げられます。

施工業者の選定を慎重に行う

屋根裏部屋の施工は、専門的な技術や知識が必要なため、施工業者の選定が重要です。信頼できる業者を選ぶためには、事前に複数の業者から見積もりを取り、実績や評判を調べることが必要です。

予算の見積もりを正確に行う

屋根裏部屋をつくるためには、多くの費用がかかるため、予算の見積もりを正確に行うことが大切です。工事費用だけでなく、建築基準法や防火法に適合するための費用、内装や家具の費用なども含めて、総合的に予算を計算することが必要です。

屋根裏部屋つくりで注意するべきポイント

屋根裏部屋をつくる際には、以下のポイントに注意する必要があります。

構造上の問題

屋根裏部屋をつくる場合、構造上の問題が起こる可能性があります。例えば、屋根裏部屋の設計によっては、床や柱の耐荷重を超えてしまう可能性があるため、構造計算をきちんと行う必要があります。

防水対策

屋根裏部屋は屋根の内側にあるため、雨水や雪水が浸入してしまう可能性があります。防水対策をきちんと行い、雨漏りを防ぐようにしましょう。

換気

屋根裏部屋には換気が必要です。換気をしないと湿気がたまって、カビや腐敗の原因となります。適切な換気設備を設置し、定期的に換気をするようにしましょう。

施工業者の選定

屋根裏部屋をつくる際には、施工業者の選定が重要です。信頼できる業者を選ぶために、複数の業者から見積もりを取り、実績や評判を調べることが必要です。

建築基準法や防火法に適合する設計

屋根裏部屋をつくる場合は、建築基準法や防火法に適合する設計をする必要があります。自治体の規則に従い、必要な手続きを行いましょう。

照明や電気設備

屋根裏部屋には照明や電気設備が必要です。十分な明るさを確保し、安全に使用できるように設置しましょう。

予算の見積もり

屋根裏部屋をつくるには、多くの費用がかかります。施工費用だけでなく、内装や家具の費用も含めて、総合的に予算を見積もる必要があります。

屋根裏部屋は後から増築できる?

一般的に、屋根裏部屋は後から増築することができます。しかし、増築するためには以下のことに注意する必要があります。

構造上の問題

増築する場合、既存の建物の構造に合わせて設計する必要があります。特に、屋根裏部屋は床や柱の耐荷重を考慮する必要があるため、構造上の問題が起こらないように注意が必要です。

設計と施工の調整

増築する場合、設計と施工の調整が必要です。増築部分と既存の部分をつなぐ接合部分の設計や施工が重要になります。

許認可の取得

増築する場合には、必要な許認可を取得する必要があります。建築基準法や自治体の規則に従い、必要な手続きを行いましょう。

費用の見積もり

増築には費用がかかるため、総合的に予算を見積もる必要があります。増築部分と既存の部分との調和を図り、コストを抑えつつ、十分な品質を確保することが大切です。

まとめ

秘密基地のようでもある屋根裏のスペースは、大人にとっても不思議な魅力を感じる場所です。そのスペースを有効に使えるように、と考えた屋根裏部屋の設置は家を建てるときには是非、と考えている人も少なくないです。

その憧れのスペースを手に入れられることになったら、最大限の希望を詰め込みたいと考える人も多いでしょう。そのためにも屋根裏部屋にまつわる法令や建築地域の基準などを事前に調べ、使用目的に合う仕様や造作など、費用、予算を踏まえて住宅メーカーや工務店としっかり話し合うことが重要となります。

専門家のアドバイス等を参考に入念に計画を立て、後悔することのない希望通りの屋根裏部屋を手に入れましょう。